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予防接種をもう一度考える 顧みる  その2

 

水痘ワクチンは何故寵愛されなかった

水痘ワクチンは大阪大学医学部の付属阪大微研研究所の高橋教授が昭和49年(1974年)に開発しました。現在までWHOに唯一認められている水痘ワクチンです。世界80ケ国以上で使われています。日本でも2016年から小児の接種が公費負担で定期接種に組み込まれました。また、成人(50歳以上)に対する帯状疱疹のワクチンとして認可されました。

ミステリーは、解けない謎は世界中が素晴らしいワクチンだと称賛し積極的に接種をしてきたこのワクチンを日本の学会は、厚生労働省は2016年になって定期接種に組み込んだのですか。大きな謎です。一般的なものの考え方として、国内で開発されたワクチンで世界中からも高く評価されている。それなら、国として応援してやろうじゃないか。これが政治というものだろうと愚考する訳です。

「燕雀焉くんぞ鴻鵠の心しらんや」であり、「鼓腹撃壌」を「由」とするお国柄だとしても、腑に落ちない。

ムンプスワクチンが未だに疎外されているのは

2010年以降沢山のワクチンが認可され乳幼児は多い時は、4種類の定期予防接種をしています。当クリニックでは5種が最高です。最後に残されていたのがムンプスワクチンと水痘ワクチンとB型肝炎ワクチンです。後者2つは定期接種に組み込まれましたが、ムンプスは未だに(2018年12月 現在)定期接種に組み込まれず、任意接種のままです。2000年前後の無菌性髄膜炎の流行が未解決のままで有る、不安が残るのであれば、任意接種をも「X」とすべきですよね。

優劣をつけることは趣旨から外れている。間違っているのは承知で問いかけますが、おたふく風邪と水痘とどちらが副作用が、合併症がより重篤でしょうか。

当クリニックで接種を希望される方に渡すチラシから抜粋して列挙しておきます。

1.水ぼうそとは

  一度罹患すれば終生免疫を得る事ができます。合併症には脳炎や肺炎が

あり、又疱瘡の跡が残ることがあります。空気感染による伝染力が強いため、

保育園、小児病棟等で大流行します。大人になるまで未感染のことは少ないですが、妊婦さんが感染すると流産(30%ぐらい)の可能性が高く、出産時直前に母親が感染すると新生児は新生児水痘と呼ばれる重篤な状態になります。

脊髄後根に潜んでいたウイスルが再び活動を始めると帯状疱疹として発症します。50歳以上への水痘ワクチン接種は帯状疱疹の発症予防効果を持ちます。

1.おたふく風邪とは

  ムンプスウイスルが両側の耳下腺・顎下腺などの唾液腺に感染して発症します.一度感染すれば終生免疫を得ることが出来ます。症状の特徴は顔面の腫張と発熱です。必ずしも両側性ではありません

年長児・大人で発症すると合併症の頻度が高くなります。そして多彩で 重篤です

無菌性髄膜炎が最も特徴的です(1から10%)

男性の睾丸炎 女性の卵巣炎もよく知られています

難聴の合併も大きな問題になっています

平成30年NHKの朝の連続テレビ小説【半分青い】のヒロイン鈴愛もそうでした

おたふく風邪(MUMPUS)

多彩な合併症

髄膜炎   睾丸炎  卵巣炎   そして難聴がある。

難聴は 1:3000ぐらいの確率である。

年間2.400例ぐらいの片側性の難聴が発生している。

ワクチンの単回投与のみだとbreak through out が10-20%ぐらい有る。

水痘(CHICKEN POX)

強力な感染力を持っているのでHOUSE HOLD CONTACT     90%以上

 COCOONING(繭の囲い込み)のためにも接種は必須である。

小児病棟の閉鎖や妊婦(3割流産)

しかし、水痘そのものの合併症はまれであり、多彩でもない。

 単回投与だとbreak through outが、10-20%有る。

 

もう忘れ去ろうとしているHPV(ヒトパピローマウイルス)ワクチンについて

2010年2月に当クリニックでは以下の様なチラシを作って子宮頚癌ワクチン接種の啓蒙を始めました。

  子宮頚癌ワクチン接種開始のお知らせ

 

新聞・テレビ等の報道で既にご存じのことと思いますが、日本でも子宮頚癌予防ワクチンの接種が始まりました。

 娘さんの女のお孫さんの小学校卒業のお祝いに、中学校卒業の記念に誕生祝いに頚癌ワクチン接種をお勧めします。

子宮頸がんの原因は、ほぼ100%がヒトパピローマウイルス(HPV)というウイルスの感染です。多くの場合、性交渉によって感染が始まります。発がん性HPVは、すべての女性の約80%が一生に一度は感染していると報告があるほどとてもありふれたウイルスです。このため、性行動のあるすべての女性が子宮頸がんになる可能性を持っています。

 ワクチンの効果がどのくらい続くのか、追加接種が必要かどうかについては、まだはっきりとわかっていません。今のところ、ワクチンを3回きちんと接種した人では、最長で7年間は、HPVの感染を防ぐのに十分な量の抗体ができていることがわかっています。

そして

20~30歳台の女性で発症率の最も高い癌は子宮頚癌です。

大切なあなたのからだを守るために

HPVワクチンを半年の間に3回接種しましょう

 1人でも多くの女性が受けられるようにしてほしいと、高い効果が期待できる11歳から14歳までの女の子の接種について、国が費用を負担するよう訴えました。

                                                                 2010年 2月

 

2008年 ドイツのツールハウゼン博士が医学ノーベル賞を受賞した。これによって、HPV 感染が子宮頸癌の原因であることが世界中で認知された。そして、HPV に対する感染予防ワクチンが開発され、その接種によって恐ろしい癌の発症が予防できる時代になったからである。この成果は医学の歴史の中では大きな一歩である

 そして、 2013年4月から中学校1年から高校1年までの女性徒を対象にHPV予防接種が始まりました。が、その2ヶ月後に原因不明の慢性疼痛などの有害事象の症例報告が相次ぎ、6ヶ月後には、積極的な接種勧奨が中止になりました。2015年、WHOは名指しで日本を非難しました。

現在小児科医、婦人科医の間ではワクチン接種を勧めようという意見も出始めている。

 ヒトパピローマウイルスが子宮頚癌の発がん因子だと言うことを突き止めたのはドイツのウイルス学者ツール・ハウゼンである。彼はこの功績によって2008年にノーベル医学生理学賞を授与されている。彼は1976年、ヒトパピローマウイルスが子宮頸がんの原因に重要な役割を果たすという仮説を発表した。この仮説はこんな疫学的調査がある。

発見の動機

生後間もない時期に修道院に入り、一生の間一度の男性との性行為を経験しなかった敬虔な修道尼には殆ど子宮頚癌の発生が認められなかった。この事実は性行為が子宮頚癌の引き金になると言うことを強く示唆した。翻って子宮頚癌になった女性は性行為の経験があった。そして性行為の回数、性交した年月には何ら関連はなかった。つまり一度でも性行為を経験すると子宮頚癌に罹る危険性が出てくる。そこまで辿り着いて彼はウイルス感染仮説を立てた。

処女膜の存在意義

余りに突拍子もないこと、荒唐無稽なこと、女性を卑下した愚かな想像と言われるかもしれないが、その当時こんな事もいわれていた。

処女膜(VIRGIN Hyemen) は何のためにあるのか。長い間の謎である。

それはパピローマウイルスの侵入を防ぐためにあるのだ。バリアーの役目をしているのだ。

サーバリックス・ガーダシルが売り出された当時、開業医の集まり、泌尿器科医の懇親会で話題に登ったことを思い出した。そんなひそひそ・ニヤニヤ話をよく聞いた。今回原稿に認めるに当たり、そんな記事を探したが見当たらない。

誰かが、勝手にねつ造した。我々、心根の卑しいゲスの医者の間ではまことしやかに囁やかれた。そしてどんどん下ネタ的に拡散した。それだけかもしれない。

修道院の尼層の間には少ない。特に未通女のままで一生を過ごした修道尼には殆ど発生をみなかったというのは事実だろうと思う。その事実が発見のヒントだったと思います。

ヒトパピローマウイルスワクチン(HPV)は副作用が多いですか

 まず、確認しておきたいことはHPV ワクチンは新しいワクチンのため、がんそのものを予防する効果は現段階では証明されていません。しかし、多分予防するでしょう。

ワクチンには2種類有ります。2価の『サーバリックス』と4価の『ガーダシル』です。

そして忘れてならないことはこの両ウイルスによる子宮頚癌は全体の60%ぐらいです。20歳を超えたら必ず、定期検診を受けて下さい。ワクチンは万能ではありません。

 

発生頻度        ワクチン:サーバリックスⓇ            

 

50%以上        疼痛・発赤・腫脹、疲労感掻痒、

10 ~ 50%以上       腹痛、筋痛・関節痛、頭痛な

1 ~ 10%未満         蕁麻疹、めまい、発熱など

1%未満               注射部位の知覚異常、感覚鈍麻、全身の脱力

頻度不明             四肢痛、失神、リンパ節症など

 

 

           ワクチン  ガーダシル

50%以上        疼痛

10 ~ 50%以上     腫脹、紅斑

1 ~ 10%未満     掻痒・出血・不快感、頭痛、発熱

1%未満        硬結、四肢痛、筋骨格硬直、腹痛・下痢

頻度不明        疲労・倦怠感、失神、筋痛・関節痛、嘔吐など

 

両薬剤の副作用報告には「う-ん」と唸ってしまいますね。

積極的に接種しましょうと呼びかけることには躊躇いがありますね。少なくとも私のように予防医学に関心はあるものの子宮頚癌の疫学に詳しくないものには呼びかけることには抵抗があります。

確定診断には至りませんでしたが、我がクリニックの数少ない接種症例でも副作用が出ました。疲労感の強い、局所の発赤腫張と掻痒感です。全身の痛みもありました。少し色素沈着も残りました。

今の私の考えとして、ワクチン接種を勧めません。

勧めませんが、代わりに20~30歳からの子宮頚癌の検診を強く勧めます。

 

 何故そんなに多いのですか

アジュバント犯人仮設 ワクチンが長い間効果があるようにワクチンの効果を強める目的で添加される、アジュバント(抗原性補強剤)を問題視する仮説が提唱されている。サーバリックスには水酸化アルミニウム、ガーダシルにはアルミニウムヒドロキシホスフェイト硫酸塩が、アジュバントとして添加されている。

接種の原則

                              守屋先生の講演

皮下注ですか?  筋注ですか?

<<<生ワクチン>>>

MR、 ムンプス、水痘、日本脳炎は、皮下接種

ロタ は 2種類とも経口接種

BCG は 管針法により経皮接種

 

<<><不活化ワクチン>>>

世界中では筋注が一般的ですが、日本では

範疇   1   皮下注 筋注 どちらでも良い

B型肝炎ワクチン(ビームゲン ヘプタバックス)と肺炎球菌23価(ニューモバックス)

皮下注射、筋肉内注射どちらでも良いのですが、B型肝炎ワクチンは筋注して下さい。(講演会で聴きました。根拠は知りません)

 

範疇  2    筋注のみが許可

HPVワクチン(サーバリックス ガーダシル) 肺炎球菌ワクチン(プレべーナ 成人に接種時)は筋注のみが許可されている。

 

範疇  3    対象年齢によって接種方法が違う

プレベーナを小児に接種する時は皮下注です。

 

範疇  4     皮下接種

その他の不活化ワクチン(インフルエンザ、四種混合(DPT+IPV)、アクトヒブ(ヘモフィールス・インフルエンザ菌B型(略してHib)、A型肝炎)は全て皮下注射だけが許可されている。

 

その他重要な事柄

 ①DPTワクチンは同一場所(例えば、左上腕上部)に打たないように注意しましょう。

   同一箇所の連続投与は避けるようにとの記載がある。

     DPTは接種すると副作用として赤く晴れ上がりやすい。重複して接種すると腫れ   上がる危険性がある。

 ②破傷風ワクチンを接種しましょう.百日咳も一緒に

  60歳(平成30年)以上の成人は抗体を持っていません。10年毎の追加接種が必要  である。DPT(百日咳の再感染予防を含めて) 0.2ml 皮下註が勧められます。

   海外留学する時は必須です。40歳以上は0.5ml接種がベターであるという意見  もある。

 

この原稿を閉じようとして最後の検索をしていたこんな記事がヒットしました。

荘内日報社」

2018年12月03日の記事です

筆者は森崎伸光先生です

抜粋しておきます。

子宮頸がんはギリシャの昔から「ビーナス病」などと呼ばれ性交経験のない修道尼さんには決して発生しないが、不特定多数の人と性交渉をもつ婦人や、そのような夫をもつ婦人には多く、性行為とかなり関連深いがんとされてはいました。ところがヒトパピローマウイルス(HPV)が性行為によって感染し、子宮自体のHPV持続感染者に子宮頸がんが非常に高率に発症することが、最近明らかにされました。つまり子宮頸がんは“腫瘍型の性感染症”であることがはっきりしたのです。がんが性感染症から創られるという事実は、医学的な大発見といってよいと思います。

 子宮頸がんの発症年齢が若年化しています。性行動と子宮頸がんのリスクについて驚くべきデーターをご紹介しましょう。初交年齢が16歳以下だと、19歳以上に比べて16倍、子宮頸がんになりやすいことが報告されています。さらに、パートナーの数も、5人以上の女性は1人以内に比べて3.6倍子宮頸がんになりやすいということです。

 若い女性に子宮頸がんが増えている理由は、性行為感染症であるHPV感染症が若年者に蔓延しているためであることは間違いない事実です。

 

                                                   平成30年12月04日

                                 脱稿

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