最先端医療技術見聞録(その1カプセル内視鏡)18/02/01更新
カプセル内視鏡検査
飲み込むだけで小腸や大腸の観察が可能
3年ほど前から「カプセル大腸内視鏡検査」が保険適応となっています。ただしくは、2007年に小腸用が、2014年に大腸用が保険適用になり日本の医療現場でも活用されるようになっています。その検査が今年(平成29年)8月から、可児とうのう病院で開始されました。岐阜県で7施設目、可児・加茂地区では最初の施設です。7月に消化器内科の佐藤淳一先生の講演を聴き大いに共鳴した私は早速、体験(検査)を受けました。
これからの医療の大原則は「検査も、治療も、より低侵襲で、より安全に」が大原則です。
その意味でカプセル大腸内視鏡は画期的だと思います。肛門から内視鏡を挿入して逆行性(大腸の蠕動運動と反対)に内視鏡を挿入して検査をする。当然かなりの痛みを伴う。羞恥心もあるだろう。「お尻からクダを突っ込まれるという恐怖」がないということは患者さんにとっては大きな負担の軽減です。有り難いことです。
より安全であると言うことも大きな利点ですね。
内視鏡による組織の損傷とそれによる合併症はつきものです。泌尿器科医として膀胱鏡を挿入時に尿道損傷を起こし内視鏡が後腹膜腔に迷入した経験もあります。大腸内視鏡も腸管破裂で緊急手術になった症例もあります。有ってはいけないことですが、あります。
おまけにカプセル内視鏡の方が、画像の解像力に優れています。書き忘れていましたが、カプセル内視鏡のもう一つの大きな特徴に、これまで観察不可能であった小腸の画像を観察することが出来るようになったことがあります。内視鏡で観ると結構の頻度で異常所見があるようです。例えば、Meckel の憩室はこれまで、確定診断をつけることが困難な病気でした。大学時代、消化器の松永教授が「僕が確定診断したMeckelは1例だけだ」と話しておられました。
痛みがなく、より安全に、そしてより確実に観察出来るのです。まず私が体験してその有用性と安全性を確かめ、汎くこの検査法を宣伝しようと考えました。
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以下はその日の日記から
2017年08月09日 (水曜日)
<<検査の説明を受ける>>
夜中に3回ほど水様便が出た。(前日は低残渣食、そして下剤服用。)
0830 2階のカプセル内視鏡と書かれた部屋で説明を受ける。担当の看護師さんは、八百津出身の同じ自治会(竹井町)出身の女性でした。彼女の母親と私は幼なじみでした。話が弾み、リラックス出来ました。
<<検査始まる>>
0840分に本格的に下剤の投与開始です。モビプレップ1000ml+水分500ですが、ゴクゴクと飲めました。毎晩ビールで鍛えてあります。9時にカプセルを飲みました。結構大きいが、つるつるで重さがあるので薬よりも簡単に服用出来ました。直径 1CM、長さが3CM 小型カメラが内蔵されている。写した写真は送信され受信装置に記録される。大腸内視鏡では一回あたり数万枚の写真を撮り、大腸をほぼ網羅することが可能である。様子を見に来られた佐藤先生に小腸の画像を見せて貰いました。なにせ今まで観ることのなかった小腸の画像ですから貴重な体験です。
1030分 画像を確認して貰いました。大腸には下りてきているようです。モビプレップ1000ml+水1000ml+ヒマシ油( トウゴマを搾って作った油です。飲んだ味は、最初は緩和的(気にならないが)後でわずかにえぐい。)を飲みました。11時過ぎに、ヒマシ油とマグコロールを追加投与。この頃20分おきぐらいに排便に行きました。水様便とはいうものの濃い小便の如くでした。排便時には貼り付けたセンサーからのワイヤーがちょっと邪魔になります。急がないと漏れちゃいます。夏用のジャージを着てきてよかった。
<<大腸憩室見つかる>>
のぞきに来た佐藤先生に、早速「大腸憩室がありますね」と指摘されました。ちょっと不安だがポリープや腫瘤でなくて先ずは一安心。何の苦痛もなく大腸の画像を鮮明に見ることが出来るのです。感激です。
順調な経過だったのですが、S状結腸で停滞して降りていかない。左下腹部を押して貰う。又、散歩と階段の上り下りを勧められた。病院を一廻りして階段の昇降を繰り返して便所に行くと無事「ゲンジホタル」を産み落とすことが出来ました。「ピカー」と光りました。12時ちょっと過ぎでした。終わりです。にこにこ顔で看護師さんに告げる。排便回数は8回ぐらいでしょうか。最後はお尻が痛かった。ちょっと辛かったが、まあこのくらいは許容範囲ですね。
<<大腸ホタル産み落とす>>
拾い上げてきたカプセルはぴかぴか光っています。まさにお尻が光っていたのだから「「大腸ホタル」です。
最後に佐藤先生の説明を受けました。 数万枚に及ぶ写真の読影には二人の専門医が担当してくださるそうです。結果は3週間後になりそうです。
<<この検査法に欠点はないのか?>>
有ります。写真を撮って観察するだけです。ポリープが有ったり、潰瘍があった時に生検をすることは出来ません。更なる検査が、通常の逆行性内視鏡検査が必要となります。
感想
実に気楽でした。痛み全くなし。羞恥心もなし。週刊誌を読みながらトイレ通いで終わります。ただし、紙パンツとその予備は持参した方がよいでしょうね。便器の前で脱ぐの時間が掛かります。焦ります。
検査用の服装はジャージがお勧めです。降ろすのが便利です。
私は3時間+αで終わりましたが、もっと時間の掛かる方もあります。スマートフォンを、或いは週刊誌を用意した方がよいと思います。
S状結腸まで降りてきたら散歩と階段の上り下りが最も効果的ですね。
啓蒙
このページを読んで、カプセル内視鏡で大腸検査を受けようと思われた方は「可児とうのう病院 消化器内科 佐藤淳一先生」の外来を受診して下さい。
予約が要ります。0574-25-3113
或いは 佐藤クリニックを受診して申し出て下さい。紹介します。
追記
JCHO 可児とうのう病院の「機関誌はとぶき」平成29年7月号に特集が組まれています。是非読んで参考にして下さい。
平成29年8月17日 脱稿
所見の報告書 大きな異常なし
8月31日 (木曜日) 検査の結果を聞く
胃 胃炎
十二指腸 異常所見なし
小腸 異常所見なし
上行結腸 異常所見なし
横行結腸 異常所見なし
下行結腸 異常所見なし
S状結腸 憩室多発
直腸 痔核
消化管内に腫瘍病変を認めない。
とっても幸せな気分で帰ってきました。
消化器はとっても大切な臓器です。みんな大切な臓器、器官ですが、その中でも結構「好・不調」がある器官ですよね。消化管って・・・。
そこを隈無く診て貰って、「大丈夫」という太鼓判を押して貰うということは嬉しいですね。
是非、カプセル内視鏡を受けて下さい。
脱稿 平成29年08月31日
佐藤先生有り難うございました。