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富山マラソンで実感したこと

タカさんの自慢話

 

 

 

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富山清流フルマラソンは5月19日 婦中町の神通川水辺プラザ自然ふれあい学習館をスタート・ゴールにした1周14キロの周遊コースで開催された。 今年で16回を数えるのだが、多分私は初回から参加している。(2002年5月、個人的には40回目のフルマラソン大会)武庫川月例マラソン会の折りに役員の方が勧誘に来られた。岐阜ですと言ったら隣の県じゃないですか。是非来て下さい。と申込書を渡されその場で書いた記憶がある。その頃の集合場所は川沿で、バッタリと「金の鯱マラソン」の河合会長、渡辺,石原さん達と会い,日本のトップランナーの1人藤原新さんとも話をし、一緒に写真を撮りました。ホルター心電図を装着したままフルを走り、貴重な記録を残しました。今年はそんなハプニングがないなぁと思っていたら石原さん達と顔を合わせました。

大会の紹介と私との関わりはこのくらいにして書きたくてうずうずしている話に移ります。

 久しぶりににフェーン現象で暑いランニング大会です。スタート時点で既に腕や肩が暑い。1週目の上流の折り返し地点で「監察」のゼッケンを付けバイクを漕ぐ大柄なお兄さんに後ろから声を掛けられる。「その帽子くびきのウルトラマラソン大会のですね」「そうです。5年前に貰いました」「いいねぇ。完走したんですね!」「ハイ!12時間55分ぐらで、完走しました。今は昔を偲ぶよすがとはなり得ていませんが、これでも早かったんです」

神通川の堤防の上は直射日光が我が物顔、体力の消耗を感じていた。長い桜並木の間は木陰があり風も爽やかだったが、堤防上のこの暑さはまだ慣れていない。5キロ先のエイドでもそのお兄さんは私を待っていてくれた。「くびきの!ファイト・ファイト」「でも、今日はやばいよ」「頑張るんだけれど、潔い退却も大切だよ」

「ハイ!」「有り難うございます」「でも、あの聳え立つ立山連峰に励まされているのだから簡単に参ったとは言えません」「早月尾根からの劔岳の勇姿を見るとやるぞ!という気にないますよ」

人はうわべだけで判断して下さい。

 

エイドで話し込む嫌われ者(人気者)

両手に一杯に拡げた視界に北アルプスが拡がっている。そして眼下には神通川に雪解け水が流れている。本当に雄大な景色だ。目の奥に焼き付けておくのだ。最後の機会かもしれないからね。スマフォを携帯していないのが悔しい。

14キロの周回コースにエイドが5ヶ所設けてある。親しみを覚えたお姉さんに声を掛けて貰い励まして貰う。貰ううちに何となく親しみを覚えてくる。7キロのエイドには富山名物の鱒の押し寿司があった。これは旨かった。元々好物である。喉越しがよい。一口サイズであり、締めてあるのでそのまますんなり落ちていく。酢が潤滑油だね。いびがわマラソンの30キロのエイドでは揖斐川町のライオンズクラブのエイドがあり、そのサイトでは稲荷寿司が提供されている。残念なことは、3時間以内の通過でないと食べられない。我先に食べてしまうので、後続のものはお相伴に与ることが叶わない。私も近年は食したことがない。テントで有無を訪ねる雰囲気ですらない。およびでない。

ともあれ、鱒寿司はあの旨さに匹敵する。

 話を戻して、寿司をほおばりながら若い女性に話しかける。「美味しいね!」「北アルプスを眺めながら鱒寿司を食べるのは最高の贅沢だね」「お兄さん!沢山食べて・・」

「どうも、どうも!富山って女性が綺麗ですね」と捨て台詞(?)を言って走り出す。14キロ走る。又同じエイドに立ち寄る。馬鹿話をしながら鱒寿司を堪能する。

 公園内の別のエイドではスイカもあった。砺波平野はスイカの名産地であると教えて貰う。たらふく食べて、「あとラストの14キロ走ってここに戻ってくるからスイカ残しておいて!」「お姉さんお願いします」

「そんな事言っても、ご免なさい。そりゃ無理よ」

「でもお願いします」

3週目だから41キロのエイドに当たる。

「スイカは?」

「お兄さん 今頃来たってある訳ないじゃないの」

「残念じゃ!!」

「でもここのスイカ食べたいから来年も来るね」

「おいで!」「おいで!!「まっとるでね・・」

「ハーイ!」

エイド荒らしのタカさんでした。

 

送迎用バスの中での弾む会話

1500分の富山空港経由富山駅行きのバスに飛び乗った。前から2列目の席だ。眼前にはフロントガラス越しに立山連峰が浮き上がってくる。「これでもか!!」と飛び込んでくる。いつ見ても心の洗われる神々の御座です。なんぴとの批評も,解説も気高く拒否するだけの美しさが、絶対的な存在感がそこにはある。しばしみつめる。あの山々に自分の青春の一部を掛けた時代があった‥その事がいとおしく思われる。言葉にすれば「あ・り・が・と・う」じっと食い入るように見つめている私・・・。その私に同席の方から挨拶がある。

「今日は暑かったですね」

「本当ですね。チョット参りました」「フェーン現象でしょうかね!」答える私。

「そうでしょうが、京丹後の現象はこんなもんではなかった。」

「そうですね。初めての京丹後は2009年ですが、ゴールした時の写真を観ると、顔からウェアから塩が噴き出していました。」

「完走?」と問いかけに対して、何気なく当然という態度で「タイムは12時間35分でした。」

暫しバスの揺れに身を任せました。やがて富山空港に到着。

「この次はどこで走られる予定ですか」と私が話しかける。

秋田の角館のウルトラ100キロ人に出場するつもり。

お宅はと聞かれたので9月に京丹後を予定しています。その他は全く未定ですと話す。

飛騨高山や、野辺山のことを話題にしました。結構ウルトラにも挑戦しておられるようにお見受けしました。飛騨高山ウルトラ100キロは登りの合計が2000メートルを超すんですよと話すと「登っても昇っても山という感じだね」とビックリ仰天の質問に「然り」と短く答えます。

顔を上げると眼の前に大きな剣が立山がフロントガラス一杯です。

「見えている山は立山ですよね」「山登りも好きですから・・」「でも山の名前がよく分からないんですよ」「ご存じですか?」

我が意を得たりの私は山を指で指しながら、視界の一番右の大きな山容を誇っているのが薬師岳ですね。ふもとは有峰湖です。そこから北へ五色ヶ原、一乗越、大汝山の立山と続く立山連峰です。平らな部分が弥陀ヶ原と美女平。そして大きな山容を誇っているのが劔岳です。長く伸びている尾根が、劔岳が誇る早月尾根です。」続けて、「後立山も今日はハッキリ見えますね。素晴らしい景色だ。綺麗ですね。鹿島の双耳峰から五龍・唐松・ひときわ高いのが白馬岳ですね。」

 富山駅近くになって励ましを貰いました。

「お兄さんはまだ若いんだから,鍛え直してフルマラソンもウルトラも挑戦して下さい」「ところで何歳ですか?」

「今年の1月で満70歳を迎えました。」

山登りは?

大学時代は山岳部に所属していました。ヒマラヤにも2回遠征しました。人生は半分遊んで過ごしてきました。職業は問われませんでしたが、開業医だとは言えませんでした。

 

                        2019年5月29日  脱稿

ここまで人に誇れるだけの実績を積み上げてきたんだね。

深く頷く実感です。

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