佐藤クリニックロゴマーク

タイ・洞窟の13名・救出される(06月23日~07月10日)

タイ洞窟の救出劇(8年前のチリ鉱山の69日)


タイのหวัง H̄wạng  チリのエスペランサ  日本の「どたんば」

タイの洞窟のことが中日新聞の中日春秋に掲載されていました。私もFIFAのワールドカップのNEWSを観ながら、読みながら捜索の推移を気にしていました。昨日(07/04日)の「報道ステーション」でも特集を組んで放送していました。
奇しくもベルヌの「15少年漂流記」 (19世紀末に書かれた冒険小説)のことに触れていました。孤立した島で、小さな希望に掛ける少年達の成長の小説です。15名が無人島に流れ着く。島の大自然に翻弄されながら小さな社会を作って、生き抜くのですね。規律と勇気をもって難局を次々と切り抜けます。


 話をチョット戻します。タイ北部のチェンライの少年サッカーチーム13名が洞窟に入っている時に大水で閉じ込められた。閉じ込められたのは6月23日のことだ。増水で閉ざされた巨大な長大な洞窟の中で13人(12人の少年と一人のコーチ)が生き抜いているのが発見されたのが7月2日である。9日目の7月2日、レスキューダイバーが洞窟の一番奥の高台に避難にしている少年達を見つけた。発見された時の映像が世界中に流れた。その映像には「希望を見つけた笑顔」が映し出されていた。絶望の文字が浮かんでいただけに世界中で安堵と「良かった」と喜びの声が上がった。見つかったことは見つかったが救出された訳ではない。余りに鮮明な元気な姿に助け出された。直ぐにでも助け出されるだろうと思ったが、そう簡単な話ではないようだ。
救出方法は3つ考えられている。排水ポンプで水を掻き出して、雨期が終わり水が引くのを待つ。長期戦になりそうです。3-4ヶ月掛かるでしょう。
地表から穴を掘って現場まで辿り着く。洞窟も避難場所も詳しくは同定されていない。むやみやたらに掘り進むことは出来ない。今タイは雨期である。2次災害もある。洞窟に大量の制御不能の水を送り込むことになりかねない。


プロとはいえ、ダイバーが現場まで辿り着いている。子供らにもダイビングの技術を教えて潜らせて救出する。プロでも5時間近く掛かった。そのドロドロの洞窟湖を潜らせるのは危険である。パニックになってしまい耐えきれなくなる可能性が高い。
世界中から救助の手が差し伸べられているが、どうすべきなのか方針が決まらない。決まらないのではなくて決められない。
有りましたよね。こんなような救出  そんなに旧くない過去に
新聞を、私のクロニクルを探しました。


 2010年8月5日 チリ北部コピアポのサンホセ鉱山で落盤事故が発生した。総勢33名が700メートルの地下に閉じ込められた。直径9センチの縦穴を掘り下げ17日後には生存が確認された。その穴を通じて水・食料、医療品が届けられ、家族との交信も可能となった。閉じ込められたが坑道は広く避難場所には食料の備蓄もあった。出水がなかった。穴をどんどん大きくしてカプセル(フェニックス・カプセルと命名)で回収した。69日目に全員救出された。「エスペランサ(スペイン語で希望)」と名付けられた救出を待つ家族キャンプ地では、歌い・抱き合って無事生還を祝った。救出中に産まれた男に子にもエスペランサと名付けられた。
この事故と救出は「エスペランサ」として記憶に残ることになった。


 この事故は鉱山である。穴の位置も深さも避難場所も全て克明な測定記録がある。地図がある。穴を掘り下げて行くにも確信を持って作業を進められた。その避難所に33名が避難していた。そしてチリであることも大きな要因でした。一年中乾期ばかりのお国だから出水を心配しなくて済んだ。避難所には僅かだが水のストックがあった。タイの現場ではしたたり落ちてくる水滴で渇きを癒やしている。「命の水」が「命を絶つ水」になりかねない危険が潜んでいる。
考えれば、考える程困難極める救出作戦である。
それでも、1日でも早く、一刻を争う事態である。速やかな決定と実行を待ち望んでいる。
 サッカーの祭典の最中のサッカー少年グループの遭難事故である。FIFAワールドカップの大成功(日本もベスト16に残れました)を祝いつつ、タイの子供達にも幸運の機会が訪れれ、きっと助け出されれる事を願う。
                                               平成30年7月5日 脱稿

註  1
エスペラントはザメンホフが作った万国共通言語である。ザメンホフは世界中のあらゆる人が簡単に学ぶことができ、世界中で既に使われている母語に成り代わるというよりは、むしろすべての人の第2言語としての国際補助語を目指してこの言語をつくった。最近ではすっかりその言語も単語も影を潜めてしまい、聞く機会が減ってしまった。しかし、現在でも彼の理想を追求している使用者も多くいる。
エスペラントはエスペラント語で「希望する人」という意味である。

 

映画「どたんば」

どたんばという映画を知っている人は少ないと思う。1954年制作だから、私の小学校3年生の頃の映画です。隣町である御嵩町の亜炭炭鉱の落盤事故とその救助活動を描いたドキュメンタリータッチで陰影の深い印象的な映画だった。落盤事故に遭った炭鉱夫達は従業員の懸命の救出作業のお陰で助け出される。一番印象に残っているのは俳優の加藤 嘉の熱演である。この俳優さんは江戸川乱歩原作の「怪人二十面相」役で私達にはなじみがあった。黒いマントを払いながら大きな口を開けてしゃべり出す独特の演技に魅入られた。男子生徒はみんなマネをしていた。その俳優さんが今度は御嵩の炭鉱の落盤事故映画に出ている。ものすごい勢いで、口角泡を飛ばして詰め寄る場面だけを覚えています。

当時から亜炭炭鉱の危険性が指摘されていた。というより、炭鉱での事故(落盤だったり、粉じん爆発だったりですが)は頻発していた。三井・三池の炭鉱でも事故はあった。炭鉱夫は高賃金だが危険であるというレッテルは貼られていた。同級生の父親が御嵩の炭鉱で働らいている友人は何人もいた。 

ついでに、亜炭って知っていますか。

まぁ!製鉄の時に使うコークスや瀝青炭とは全く正反対の石炭だと考えて下さい。だから亜石炭→亜炭なのです。我が家の工場にも亜炭ストーブがありました。燃えかすの量がすごかった。つまり単位体積当たりの燃料効率が悪かった。「10」の量の亜炭を燃すと「7」か「6」の燃えかすが残った。木を燃すよりも燃えカスが多く、後片付けが大変だった。中生代の生い繁っていた巨木が地殻変動で地中に埋まり、水分だけが抜けて燃えやすくなった程度のものだったのではないだろうか。兎に角脆かった。スコップで叩くとばらばらと割れ散った。

蛇足で書くと

 御嵩町では今でも地盤沈下が頻発している。「今でも」ではなくて「今だからこそ」である。戦後、この亜炭を何の計画性もなく、野放図に掘りまくった。地表近くも掘った。縦穴を掘らなく済むので好んで浅いところを掘った。そして亜炭はガサガサの状態である。

道路に巨大な穴が空いたり、家が傾いたり、戦々恐々たる状態が、今も続いている。誰も炭鉱の坑道の実態を知らない。空恐ろしい。私は「杞憂」の人だから御嵩には棲まない。温泉は出ないが岩盤が固い八百津を好む。地震列島日本に住む者としてはより安全である場所に居を構えた。本題から外れすぎたので、これで終わります。

                           7月6日  

07月08日     2230

タイの海軍は少年が4名救出されたと奉じた。希望ですね。

タイのワン・チリのエスペランサ・日本のどたんばの希望

07月10日    2038分

世界中が、固唾を呑みながら見守ったその救出。成功を全員無事生還を誰もが願っていた。全員(13名)の救出をNHKが報じました。良かったですね亡くなられた救助隊員のご冥福をお祈りします。

 

電話・FAX

TEL.0574-43-1200
FAX.0574-43-9050