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歌舞伎鑑賞履歴

歌舞伎って面白そうだな。観に行きたいと思って通い始めて満6年です。

これを機会にこれまでの鑑賞の歴史を辿ってみました。

あちらこちらから資料を引っ張ってみると結構の回数になっていました。

 

アッ!!

塵も積もれば山となる!!

ヨッ ㊤屋

と屋号を叫ぶ掛け声あり

 

 

平成24年6月10日(日曜日)

           御園座さよなら公演 六月大歌舞伎

その1

夏祭り浪花鑑(なつまつりなにわかがみ)   義太夫狂言

 特別の中身のある劇ではありません。  歌舞伎はオペラみたいなもの、ミュージカルみたいなもの、役者を演技を楽しむものであって、人生論を演じたり、悲劇だったりするわけではない。

市川海老蔵  団七    侠客、喧嘩沙汰で入牢していたが、出所となる。

市川孝太郎  お梶    団六の奥さん・・・出演時間は僅か。

市川左団次  釣船 三婦   渋い役者さんだ。

あらすじ   他のところからコピ・ペーをしただけです。

色々の入り組んでいるのでなかなか理解しきれない。

人物相関図はちまちましすぎですね。

  玉島兵太夫の忰、磯之丞は、堺の遊女琴浦に溺れて放埒を尽くし、勘当される。兵太夫の恩を受けていた堺の魚売団七九郎兵衛は、琴浦と添わせるべく磯之丞の世話をする。磯之丞の恋敵大鳥佐賀右衛門は、琴浦を手に入れようと奸計し、一寸徳兵衛を味方につけるが、徳兵衛も玉島家の恩顧を受けたものであることが判明し、団七と徳兵衛は義兄弟の契りを結んで、磯之丞を守ることとする。釣船の三婦の許に磯之丞と琴浦を匿う。  徳兵衛の女房お辰は、磯之丞を備中玉島へ送り届けるため、自らの額に焼き鏝を当てて、醜婦となる。  団七の舅三河屋義平次は琴浦を奪い、大鳥に渡して金にしようとするが、追付いた団七はさまざまな恥辱にたえ、歎願するも、聞入れぬので思わず舅を殺してしまう。  舅殺しが露見した団七は、一旦玉島に逃れるが、自ら名乗って縄目にかかる。大鳥も旧悪が露顕して磯之丞は帰参が叶う。

一番の見所は

 

いろいろあるんですが、やはり「長町裏」の場の舅殺しの場でしょうねぇ。

泥場。本当の水、本当の泥を使っての立ち回りです。

見得を切りながらの様式美の濃い殺し場は、なんだかスローモーションを見るよう。

BGMの祭り囃子も効果的に緊迫感を盛り上げます。

 

その2

素襖落(すおうおとし)  松羽目物 舞踊

新歌舞伎十八番の内            十二代目市川團十郎を見た最後です

市川團十郎・・・太郎冠者を見事に演じる。見得を切る格好姿勢がきまっている。。足音といい、腹の据わった文化を感じさせる

 

 伊勢参宮を思い立った大名が、かねて約束を交わした伯父を誘うため太郎冠者を伯父の館へ差し向けますが、あいにく大名は不在。姫御寮に酒を振る舞われ太郎冠者は勧められるままに盃を重ね、那須の与一「扇の的」の件を語り、さらには素襖まで頂戴します。帰宅した太郎冠者は酔いつぶれ、渡すまいと隠していた素襖を大名の前で落としたことも気づきません。。太郎冠者の酔態や素襖を探し回る様子など面白さを生かした舞踊劇です

冠者(冠者とは元服をして冠をしている男・・召使い的存在。高貴人には使わない

 

 

 

平成24年6月24日(日曜日)  

               東京国立劇場

その3

 俊寬       中村新之介主演  義太夫狂言

 

近松門左衛門作 人形浄瑠璃を原作 2段目鬼界ヶ島が俊寬として独立して演じられている。

平安時代末期の平家の頭領平清盛の横暴に謀反を企て、鬼界ヶ島に流された俊寬の物語りである。

島の娘千鳥と成経(なりつね)の身分を超えた恋愛

俊寬に親代わりになってくれるように頼む千鳥 

都に残してきた恋女房東屋のことを語る俊寬

そして、赦免船の到着(平清盛の娘中宮彰子が懐妊をした。その安全祈願を願って赦免が行われた。喜界ケ島にも使者がやってくる。されど、千鳥を乗せることは叶わぬと言い切る憎々しい役人瀬尾の役者もよかった。

「千鳥だけを残しては、都には帰れぬ」と辛い思いを吐露する成経。そして一方、妻・東屋の死を告げられた俊寬は若い2人の為に自分が島に残ることを決心する。そのことを懇願するが瀬尾はそれをも拒絶する。俊寬は刀を奪って瀬尾を殺してしまいます。使者殺害の罪を背負って1人島に残ることを決心する。

 自分の身を犠牲にしてまでも他人の為に何かをしようという、人間の一つの理想的な姿を描いたものである。

涙が溢れてきます。孤独感と絶望感から岩山によじ登り、俊寬は涙ながらに叫び続ける。回り舞台の上で島に残る俊寬の姿がダイナミックに表現される

平成24年12月9日(日曜日)       国立劇場       

その4

鬼一法眼三略巻   義太夫狂言  

吉岡鬼一  一條大蔵卿    中村吉右衛門(鬼平犯科帳を演じた役者)

鬼一法眼と一條大蔵卿と1人2役の中村吉右衛門が、絶妙な心理描写を見せました。

 

 物語は単純。源氏を破り平氏が実権を握った時代。独裁者、清盛の眼を欺き源氏再興を図る人たちの奮闘記である。清盛は兵法家、鬼一法眼に、兵法の寅の巻を所望し、鬼一の娘、真鶴姫が持参する。が、それは清盛の長男重盛が父を諫める(源頼朝の妻、常磐御前を寵愛する)手紙であった。怒った清盛は「寅の巻」の提出を言い渡す。

 「菊畑」では、源氏に思いを残しながら今は平氏側の鬼一法眼の描写が中心

兄の本心を探り、彼の持つ兵法書を奪うため、奴(やっこ)に化けている智恵内(ちえない)実は鬼三太(きさんた)、そして、源氏の御曹司、牛若丸(虎蔵)は「寅の巻」入手のために、虎蔵と名を借りて奉公潜入。鬼一法眼はこの2人に火の粉が降りかかる前に仕事ぶりを叱責し暇を出してしまう。二人は「寅の巻」入手を目的に奥庭に入り込む。そこには鬼一が待ち構えている。

彼は、源氏の恩を受けながら平家に使えた身を悔やむ。そして鞍馬山の大天狗に扮して牛若丸に武術を教えたことを告白する。「寅の巻」を牛若丸に譲って自分は自害する。

「檜垣・奥殿」は、源氏贔屓(ひいき)を隠し、「あほう」を演じる大蔵卿の独壇場。白塗りの公家メークにぽかんと終始口を開け周囲をけむに巻く吉右衛門の芸はさすがです。見事です。清盛は、常磐御前を「あほう」と評判の一條大蔵卿に嫁がせます。

大蔵卿は、「あほう」をよそおおってきたことを打ち明け、源氏に味方する本心を伝えます。

そして、牛若丸に贈る源氏の重宝の刀を鬼次郎に託します。

そして、時節到来を待つように告げ、元の「あほう」の姿に戻るのです。

 

平成25年3月20日         ・御園座最終公演

その 5

 おじいさんおばあさん    新歌舞伎

森鷗外原作  

森鷗外原作の「じいさんばあさん」は市川中車が主人公美濃部伊織を演じました。伊織が京都で同僚を斬り殺してしまい、蟄居お預けとなる。生まれたばかりの子どもは天然痘で死亡。妻は黒田播の奥方に使える。37年振りの越前有馬からの帰国が許される伊織。それを聞きつけ黒田播から暇を貰い戻ってきた妻・・・お互い年をとりながらも、新しい人生を生きるのだ、余生ではないと言い切る伊織が格好良かった。

市川中車・・・香川照之が改名

その 6

義経千本桜 「川連法眼館」(歌舞伎では四つ切り)の感想

  

歌舞伎は古典芸能ではなくて、現在完了進行形ですね。

源九郎狐が階段の間から飛び出し(花道の奥に音がしたのでそちらを観たらその瞬間に階段の一部が空きそこから白狐が飛び出てきた)・・・大拍手です。

最後に初音の鼓を義経から貰って、喜々面々として喜ぶ狐。鎌倉方についた僧兵達を手玉にとって退治し、去って行きます。それが例の宙乗りです。

話には聞いていました。それにしてもすごい仕掛けでした。

猿之助(亀治郎)の演技も只只見とれるばかりです。欄干の上でおどり、狐の仕草でおどり舞います。身軽ですね。

狐を市川亀次郎(大河ドラマの武田信玄)改め市川猿之助

静御前を板東藤十郎が演じました。

川連法眼の家からはじまります。「川連法眼」の住居に、義経一行は隠れております。

そこに、偶然、本物の忠信(狐が化けた偽物もいるのだ)も義経に会いに吉野にやってきます。静の事やら鼓のことを聞かれチンプンカンプン・さてはスパイかと。こっちの本物の忠信が疑われて尋問の為連行される。 そこに、逃避行の途中で義経とはぐれてしまった義経の恋人、静御前(しずかごぜん)が、家来の佐藤四郎兵衛忠信を伴ってやってきます。(一緒には来ません。)静と一緒に来た忠信は、じつは狐の化身なのです。

始めは本物を怪しいと思った義経です。静に詳細を尋ねます。そうすると、鼓を叩くとどこからともなく現れることが分かりました。

初音の鼓を叩きます。鼓を叩くと屋敷の前の階段の間のからくりから全身白い毛に包まれた美しい狐が現れます。このシーンが楽しかった。 忠信が御殿の階段にパッと出現したり、廊下の床に消えすぐさま縁の下から真っ白な狐の姿に変わって出たりと、狐の神通力を表す工夫、トリックに驚かされます

 補足

重箱の隅をつつくような見方ですが、「義経」の文字を重箱読みしますと「ギツネ」。

初音は霊験あらたかな宝物です。後白河法王が義経にあたえました。しかしその鼓を打てというのは「頼朝を討て」という法王の思惑が仕込まれているため、義経は打つことが出来ない。 狐忠信はその狐夫婦の子供の狐です。両親の魂が入った鼓の音が恋しくて鼓につきまとっています。

                                     

平成25年10月26日

その 7

     金山の市民劇場

 

「お染め久松色読版(うきなのよみうり)  

                       

お染めの七役はすごかった。圧巻でした。中村福助(来年中村歌右衛門を襲名予定の女形)が演じました。

大詰めの向島道行きの場・・・何時、どうやって変わったのですか・・・考え込んじゃいました。影武者が、代役がおり、途中で入れ替わっているのだよ。入れ替わったら正面は向かない。・・観客に顔を見せない。つまり、お染めと久松が踊っている。お染が顔を見せている時は久松は当然代役です・・・これは当然です。踊っている最中にお染も代役と入れ替わっている。そして、二人が舞台から姿を消して、まもなく、すぐに右奥の花道から久松で登場するのだ。

 

土手のお六の亭主(悪党)役、鬼門の喜兵衛役を中村橋之助(福助の弟)

   決まっていました。棺桶の上に乗った仕切りは素晴らしかった。

役者さんですね。

 

浅草の油屋(油と質屋)の丁稚・久松と、箱入り娘お染は恋仲であり、深い仲(懐妊している)

が、久松には許嫁のお光がいる(捨てられたと知ってもの狂いになる) お染めにも薬屋の精兵衛の縁談が進んでいる(板東邇十郎)・・つまりお互いに決まった相手がありながらの道ならぬ恋であり、不義・密通である。

久松の父親は、千葉藩の家来であったが名刀??を盗まれ、その咎を受けて切腹、お家断絶となった。再興のためには刀を取り返さねばならない。久松には姉竹川がいる。いまも奥女中を務めている。竹川も名刀と折り紙(鑑定書)を探している。盗んだのは、鬼門の喜兵衛(中村橋之助)である。久松の父親の同僚の鈴木弥忠太に頼まれた。が、盗んだその刀を「油屋」に質にだし、貰った100両は飲む・打つ・買うで使い果たしてしまった。

久松は乳母に家に引き取られ、その息子久作の弟と偽って奉公している。

一方、油屋の番頭もお染めを慕っている。お染めの兄太三郎(芸者小糸に惚れ込んでいる。鈴木弥忠太より早くお金を積んで身請けをすればよい・・・・質札の横流しを勧める・・勘当され、自分が油屋の身代を継ぐ。その話しを盗み聞きした丁稚・久太を放逐する。久作が嫁菜を売り歩いている。嫁菜を売る・売らないから油屋の手代が久作に怪我をさせてしまう。そこに仲裁に入った精兵江が、薬代と古着を渡して仲裁する。

話はあれこれとややこやしいのでこれ以上書かないが、

中村福助のあでやかな姿は綺麗だった。着物も素晴らしいね。簪、髪の形・・・

その  8

 西郷と豚姫・・・・新歌舞伎

 

お玉・・・・   中村扇雀

西郷吉之助  坂東彌十郎

池田大五の名作・・・

失意のうちの西郷はお玉と2人で心中しようと言い始めるのですが、そこへ、大久保利三が駆けつけてくる。薩摩藩の殿様(島津久光)が、勤王の意向を示された。

急遽、西郷は江戸に登ることになる。・・賜った100両のうち、50両をお玉に与える

豚姫は実在の女性である。2018年のNHKの大河小説では「鍵屋」の女中の「お虎」さんです。

 

平成27年8月9日

その 9          中日劇場

六本木歌舞伎

地球投げ五郎 宇宙荒事

市川海老蔵  声が潰れてきていい声になってきましたね。響きがよい。

中村獅童   比較すると劣りますね。 八重の桜の会津藩士は格好良かったが

  加藤清史郎  CM・・トヨタの支店長

 

清司郎の語りから始まります。

そして海老蔵と獅童が隅(クマ)取りをする。 隅を書くとは言わない。赤は正義の味方

青は悪者の象徴

筆では書かないのだね。指で書いていくのだよ。

大胆に、そして繊細に、観ているだけでワクワクしてくる。形相が変わってくるのだからね。江戸にエイリアンが襲ってきて團十郎が救うっていう設定はどうだろうと、もちかけ、獅童さんにダース・ベーダ―役を依頼する

海老蔵の弟子、鯛蔵はうすうす気付いていた。海老蔵は宇宙人ではないかと…。

場面は変わって江戸時代、そこへUFOが浅草寺の境内に降りてくる。大騒ぎになりダースベーダー エイリアン(中村獅童)が「銀河丸」という刀をかついて現れる。

度重なる宇宙生命体の襲来により機能を失い、事態を穏便に納めたい幕府の意向を受けていた和尚は「これは芝居だ」「歌舞伎だ」という。そこへ花魁道中の「高窓」が通りかかる。そして対抗馬の救世主に今を時めく歌舞伎俳優市川團九郎(團十郎ではない)を呼ぶ。歌舞伎独特の英雄武将装束の團九郎が現れる。正義の味方「投げ五郎」に扮しての登場である。しかし花魁と小坊主一人を連れ去られてしまう。ダースベイダーも大切は刀を置き忘れてしまう。

 じつは高窓は、時の将軍 徳川綱吉公の長女、鶴姫の仮の姿だった。将軍より鶴姫を助けて欲しい、連れ戻して欲しいと頼まれた團九郎は、今立ち上がらなければご贔屓を失うことになると説得され、ついに決心する。そこで、与駄(ヨーダ)と名乗る者から明かされる、團九郎と米太夫(将軍の子供である。鶴姫とは兄妹)の悲しくも数奇な運命…。つまりダースベーダー・エイリアンは人間であり、投げ五郎は実は宇宙人だったのだ。そして、同行していた絵師は宇宙の環境に適応できないで死亡。ダースベイダーも死ぬ。??。地球に巨大隕石の衝突による危機が到来する。投げ五郎は眼力で地球を軌道から外すべく投げる。・・地球投げ五郎・・・ブルース・ウィルス主演のアメリカ映画「アルマゲドン」の考え方ですね。

團九郎と米太夫の決闘はいかに!!

にらみをフォース代わりの武器にして地球を救った團九郎。ラストは大きめの紙ふぶきが降りしきる中、幕。

新感覚で面白い舞台でした。

と言う批評もありますが、歌舞伎は形式美の処もありますよね。そして今や伝統芸能です。飛躍しすぎですよね。中村勘三郎の「スーパー歌舞伎」を観たことはありません。

 

 

                                                  

成27年8月23日

その 10

                 京人形

                      歌舞伎座

                      新しい歌舞伎座に始めて入りました

 

主人公は彫刻の名工「左甚五郎」。街で見かけた遊女太夫に惚れて、恋の長煩いをするが、身請けするお金もなく、そっくりの等身大の人形を作る。舞台中央の座敷に真ん中に「京人形」書かれた大きな箱がある。その中にしまってある。

病も癒え、医者から帰ってきた甚五郎(中村勘九郎)さっそくフタを開け話しかけて酒盛りを始める。女房の「おとく」に仲居を頼む。そして自分はお酒を飲みながら、京人形に見とれている。

 処がそのうちに、太夫人形(中村七之介)には甚五郎の気持ちが、魂が入りこんで動き始めました。これがまた美しい・あでやかである。そして顔は微動だにしない。一言も喋らない。

一緒に踊るのだが、魂は男のだから動作がガサツ。色っぽくない。しかし、・遊女が落とした手鏡を持たせたら色っぽく踊り始める。その見事なことに見とれてしまう。

 

躍って遊んでいたら急に役人が手下を大勢連れてやってくる。じつは夫婦でどこかのお姫様を悪者からかくまっていたのだがそれがバレた。なんとかごまかして隣の家で待たせる。お姫様を呼んで逃げさせる。こんどは強そうな奴兄さんがやってくる。実は、お姫様の家来。こいつが主人公を敵だと誤認識して腕を切り落とす。誤解だとわかって謝る(謝られても)。

・さっきの役人と手下の大工達がまた来る。主人公は隻腕で悪者たちと戦う。大工道具を使っての立ち回りである。そして最後にみえを決めて終わり。

左甚五郎の心境がよく分かります。

 

その 11

ひらがな盛衰記

逆櫓(さかろ)

樋口次郎兼光(木曾義仲の遺臣)  松右衛門   中村新之介

義父(さかろ)の伝承者の船頭   権四郎    坂東彌十郎

義経の家来  畠山 重忠            中村勘九郎        

お筆…扇雀(木曽義仲の妻に仕える腰元)

およし・・・・権四郎の娘・・松右衛門の妻               

槌松実ハ駒若丸…(およしと前夫の息子(槌松)と取り違えた木曽義仲の一子)

<第一場>

。源氏の武将梶原殿に呼び出されていた婿である松右衛門が帰って来たのだが、義経の乗る船の船頭を任されことになったと告げ、家族は大出世を喜ぶ。そこへ、武家の女中が訪ねてきた。子供を取り違えた者という。子供を帰して欲しいとのことだが、本物の槌松の姿はない。腰元 御筆が言うには、ゴタゴタの際に、若君として殺されてしまったと。

嘆き悲しむ二人に、腰元は遺品の笈摺(おいづる)を渡し、生き残っている若君をどうか返して欲しいと頼む。

そこへ姿を整えた松右衛門が登場。権四郎は、槌松が前夫とおよしの子で、松右衛門と血がつながっていないから、槌松が殺されても仇討をしないのかと詰め寄ると、松右衛門は自分は木曾義仲四天王の一人樋口次郎兼光で、この子は義仲の一子・駒若丸、血が繋がらなくとも子の仇は打ちたいが主君は討てない。むしろ血のつながらない我が子だが、主君の身代わりになってくれたと礼を言う。

更に、権四郎から逆櫓の技術を学び、梶原殿に取り立てられることで義経を討つ命を遂げられると権四郎に感謝し、武士の面目を立てさせてくれと頼む。

権四郎は武士を子にしたからには自分も武士と、孫の仇討ちを諦める。

腰元は樋口殿にならば預けておけると若君を連れていくのを止める。

やがて逆櫓を学びに来た船頭が現れ、松右衛門は船着き場へ。

 

<第二場>

松右衛門の正体は梶原にバレており、追っ手が押し寄せる。一対多数で大立ち回りを演じると、畠山が現れた。権四郎が訴人(=密告)したのだという。

すわ裏切りかと父をなじる娘をよそに、権四郎は槌松を示してこの子は前の婿の子供で松右衛門とは全く無関係なので助けてくれと願い出たという。

つまり、若君を助ける為の計略と理解し、権四郎に感謝する松右衛門=兼光。

兼光は畠山に立ち会いを挑むも諭され、縄にかかることに。

畠山は子供の正体に気づいているが何も言わず、最後に義理とはいえ一時は親子となったからと、松右衛門=兼光と槌松=駒若丸に別れの対面をさせるのだった。

 

「ひらかな盛衰記」は今風にいうなら「わかりやすい源平盛衰記」といったところか。

現代人にはまったくわかりやすくありませんが。

 

お筆のお役目大事でちょっと他人の心を考えないところとか、逆に権四郎の心境を思いやる松右衛門=兼光とか、孫の敵だが息子の主君の遺児で今となっては孫にも等しい槌松=駒若丸を助けるために娘婿を密告する権四郎、と、なかなか心境が複雑。

 

 

                                        

 

平成29年5月5日          歌舞伎座 

  

その  12  義経千本桜  4段目 道行初音(歌舞伎では吉野山) 舞踊が中心です

        桜が満開の吉野の山中 恋しい義経を追って 静御前が登場

        静が初音の鼓を叩くと忠信がどこからか現れてくる。

        恋と忠義の道行き

        忠信は踊りの中で狐の仕草が出る。

        最後花道で狐六法を踊る

(曲芸まがいの狐が七変万化するのは河連法眼の館(四つ切)・・4段目の最後の場面です。 

                 

                 踊り   市川海老蔵(佐藤忠信  じつは源九郎狐)

              尾上菊之助(義経の白拍子、恋人、静御前)

早見 藤太(鎌倉方の追って)

その13   魚屋 宗五郎    河竹木阿弥原作 

尾上菊五郎(昭和41年、NHK大河ドラマ「源 義経]で主役

寺島真秀  孫

 

器量よしの妹「お蔦」を旗本磯部に奉公に出し、その妹は殿様の気にいられ「側室」となった。そのお陰で兄宗五郎の魚屋商売も立ち直った。万事めでたしだったが、妹が不義密通の罪で殿様にい成敗された。嘆き悲しむ場面に妹の同僚だったお女中が線香を上げに来る。そして真実を知る。断っていたお酒を飲んで、屋敷に乗り込む。家老の便宜で、無礼者の手打ちは免れたが、悔しい思いを切々と訴える。そして、屋敷で寝てしまう。磯部は短慮でお蔦を殺めたことを詫びる。そして典蔵の悪事も暴かれ、その場を逃れた典蔵もやがては捕らわれることとなります。

 

平成30年4月4日     御園座  こけら落し

その14  梶原平三誉の石切

      中村吉右衛門

源頼朝の挙兵を打ち破った平家の武将  大場三郎景親

 赤ら顔で粗暴な弟          俣野の五郎 

 武勇を備えた平家の武将              梶原平三

鶴岡八幡宮の門前で繰り広げられる一幕です。

今は平家の武将だが、心では源氏に味方している。頼朝を助けたこともある梶原平三。

太夫が刀を大場に売りに来る。居合わせた平三は稀代の名刀として鑑定したが、俣野の五郎が「二つ胴」をすることを提案する。が、死刑囚は1人しかいない。六郎太夫は娘を嘘の使いで追い出して、自分を2人目にして「二つ胴」をしてくれと頼み込む。渋々承知した平三であったがわざと失敗をする。

それを観た大場兄弟は「なまくら腕」に「なまくら刀」とあざけり立ち去る。

それを確認した平三は、父と娘に頼朝再興の軍資金集めであると見抜いたこと、自分の本心は源氏にあると告げる・・。

 刀を買い取る。 が、名刀に傷が付いたままである。名誉回復の誉を獲らねばということになる。八幡神社手水鉢を一刀両断にして、名刀であることを証明する

 晴れやかな幕切れ

その 15

 勧進帳

その16  

廓文章  吉田屋

  近松門左衛門の浄瑠璃が原作

 

大坂新町(江戸の吉原)の揚げ屋 吉田屋

大阪きっての豪商 藤屋の跡取り息子、藤屋伊左衛門 松本幸四郎

扇屋の花魁・傾城・夕霧              中村壱太郎(かずたろう)

店の銀、700貫目を入れあげ、父親から勘当され、今や一文無しになり変わり果てた姿です。 夕霧が、病に伏したとの噂に、、零落の身にも顧みずついついとやってきてしまました。夕霧が他の座敷に出ていると聞き、ご機嫌斜め。吉田屋の主人も手を焼く始末です。夕霧を不誠実だと拗ねるやら恨むやら、だだをこねます。夕霧がやってくると分かると炬燵で狸寝入りを決める。やっと逢えたというのに始まるのは口舌(口げんか)です。

夕霧が涙ながらに伊左衛門の心ない所作を嘆けば、・・・・ふとしたことから2人はすっかり元の熱愛同士です。

そこえ千両箱が運び込まれてくる。

藤屋の亭主が、伊左衛門と夕霧、2人の仲を認め、その身請けのお金が運ばれてきたのである。明日の正月を前に、喜びに沸く吉田屋の座敷である。

 

放蕩息子を松本幸四郎が、演じました。歌舞伎役者の顔と言うよりは、女形に近い感じですね。弁慶が出来るようになるのでしょうか?

中村壱太郎(かずたろう)

坂田藤十郎+扇千景の孫です。父親は、中村鴈治郎です。その弟が中村扇雀(女形)です。

女形を中心に活躍している。

                                        平成30年5月31日脱稿

 

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